北軽井沢 6月の物語 |
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北軽井沢 6月の物語そして、乙羽は毎日毎日、村人の手伝いをするようになりました。畑仕事を手伝ったり、地引網を曳くのを手伝ったり、山仕事を手伝ったり。たちまちのうちに乙羽が村人の人気者になった事は言うまでもありません。 そのうち、乙羽が村の手伝いをする度に村の者は、乙羽に野菜や魚等を駄賃に渡すようになりました。駄賃を貰っては良い事をした事にはなりません。ですから乙羽は断りました。しかし、村の人たちは無理矢理にでも乙羽に駄賃を持たせました。乙羽は困ってしまいました。 「どうした乙羽、最近元気がないが」 「(元気なく)はい・・・」 「悩みがあるのなら聞くぞ」 「和尚様、私は何時も貰うばかりです。和尚様から、村の人たちから。けれど、私には何の御返しもできません。和尚様、私は如何したらいいのでしょう?」 「お前に出来る事をすればよい」 「でも・・・」 「儂には百姓仕事は出来ぬ、しかし坊主として精一杯の精進は行なえる。そして、説教ぐらいは村の者にしてやれる。村の者は経は読めぬ、しかし一心不乱に鍬を打つ事は出来る。そして、その収穫を仏様に捧げる事ができる。乙羽よ、お前はお前に出来る事を精一杯すればよいのだ」 「和尚様、私に何が出来るのでしょう?」 「それは自分で探しなさい」 「自分で?」 「己れの人生は人に教わるものではない。自分で探さねばならぬ」 「はい・・・」 私に何が出来るのだろう? 乙羽は一生懸命考えました。しかし、答えはみつかりませんでした。 |
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